11月の礼拝説教から PDFファイルで読む |
ホームへ 説教集へ |
||||
※ この説教の音声再生コントロールは、ページの一番下にあります。 | |||||
聖書 使徒言行録 13章 1〜12節 |
|||||
1アンティオキアでは、そこの教会にバルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、キレネ人のルキオ、領主ヘロデと一緒に育ったマナエン、サウロなど、預言する者や教師たちがいた。2彼らが主を礼拝し、断食していると、聖霊が告げた。「さあ、バルナバとサウロをわたしのために選び出しなさい。わたしが前もって二人に決めておいた仕事に当たらせるために。」3そこで、彼らは断食して祈り、二人の上に手を置いて出発させた。 |
|||||
(c)日本聖書協
会『聖書 新共同訳』 より |
|||||
説教 「聖霊に満たされて」 | |||||
パウロとも呼ばれていたサウロは、聖霊に満たされ、魔術師をにらみつけて言った(9節,10節a)。 | |||||
ステファノの殺害を口火に堰を切ったように始められた迫害は、エルサレムのキリスト者を瞬く間に離散させました(使徒言行録8章1節)。けれども、その不幸なできごとも、福音の前進と新しい群れを産むきっかけになって行きます。異邦人伝道の基地となるアンティオキア教会がまさにそうです。 この教会には、バルナバ、ニゲルと呼ばれるシメオン、キレネ人のルキオ、領主ヘロデと一緒に育ったマナエン、かつて教会を迫害したサウロなどが指導者としていました(13章1節)。人間的な価値観からすれば、どうやっても一緒になれないような人たち。出身、生い立ち、人種などがバラバラです。 しかし、共通するものが一つあります。皆、キリストにとらえられ、自分を神に明け渡す自由を持っていたことです。その自由を大切にする者が、昔も今も主の宣教に用いられます。「彼らが主を礼拝し、断食していると、聖霊が告げた」(2節)とあります。私たちが信頼するのは、人を惑わすこの世の霊(テモテ一4章1節)ではないのです。 キリストの霊によって、パウロとバルナバが選ばれ、異邦人伝道のために派遣されます。しかも、「教会によって送り出された」と言わずに「聖霊によって送り出された」といいます(4節)。「二人または三人がわたしの名によって集まるところには、わたしもその中にいる」(マタイ18章20節)と主イエスが言われたように、主が伴っておられるのです。 キプロス島に着いた二人は、早速、神の言葉を告げ知らせました(使徒言行録13章5節)。ところが妨害も起こりました。バプテスマのヨハネから洗礼を受けて、聖霊によって荒れ野に連れ出された主イエスが、サタンの誘惑に遭った(マルコ1章13節)ように、「信仰に生きること」は、誘惑や試練を免除されることではありません。むしろ、試練の中で、神の支えと勝利が明らかにされます。 魔術師エリマは、地方総督がサウロから福音を聞くことを妨害しました。注目すべきは、その時のサウロの言動です。その時、サウロは聖霊に満たされ、彼をにらみつけて、「悪魔の子、すべての正義の敵」と言い放ちます。「聖霊に満たされる」とは、現実から遊離して生きることではありません。聖霊は、イエスを主とする霊(コリント一12章3節)であり、福音とはどういうものであるかを明確に示し、神と隣人に真実に仕えさせる霊です。信仰の理解を聖霊によって明確にされることは、わたしたちが隣人の救いのために仕える道でもあります。 |
|||||
(11月2日の礼拝説教から 牧師 井上一雄) | |||||
■ この礼拝説教を音声 で再生する■ |
|||||